take You ２
「・・・・可愛いねぇ」
すかさずかかった議長の声に、びっくりすると同時に何故かうっかり感じてしまい、シンは激しく自己嫌悪した。
でもあれ？声、近い・・・
「アスラン、そのままだよ」
「はい・・・」
ふる、と、シンの上のアスランの体と、シンの中のアスラン自身が震えた。
イったというのに、アスランのものは抜かれず、それどころかシンの腰を掴み上げ、いっそう押し付けるようにされて。
「アス・・・」
解放の瞬間に閉じてしまった目を開けて、彼の様子を伺うと、青く透ける綺麗な髪の向こうに、橙色の瞳があった。
うわ。
「ぎ、議長・・・っ」
「言っただろう、そのままだ」
議長はそうして、にこりと笑って。
「ふ、うっ・・・」
シンの胸の上に、アスランの喘ぐ声が落ちる。
ぐっしょりと濡れたシンの中、アスランのものがぴくりと跳ねる。
「何やって・・・」
「わかるだろう？」
議長の声が、アスランの体に直接響いて、それがまた、シンに響いて。
「君も、あんなによくしてもらったんだ。今度はアスランをよくしてあげないとね」
にっこりと、やたらと怖い笑みを浮かべた議長の、スラックスを穿いたままの足が、シンの腰に触れた。
もしかしてこの人、アスランさんに入れてんの！？
「んふ・・・」
それを証明するように、シンの胸元に埋められたアスランの唇から、濡れた喘ぎが漏れ出して、ゆるりと揺れた腰がシンの中を刺激する。
わーっ、わーっ、わーーーっ！
「んぁ・・・」
自分のソコが、意図しないままに締まって、アスランを締め付けたのが、わかる。
とたんにびくんと震える体。すぐさま突き上げられて、甘く喘いで身をよじるアスラン。
「うん、そうだ。そんなに下手でもないようだよ？アスラン」
「まだまだ・・・で・・・はぅ・・・・っ」
二度もイかせてもらったし、中も慣れてきたので、シンもさっきと比べては、少しだけなら余裕があった。
見下ろす橙色に促され、つたなく腰を動かして。
「んっ」
たまに感じる場所に当たってしまい、自分も気持ちよくなってきて。
シンの上、議長の下に挟まれたアスランも、震えながら二人に応えて、淫らに体を揺すりだす。
「あっ・・・は、ふ、んんっ・・・・」
こぼれる声の壮絶な艶が、シンをもっと気持ちよくしてくれる。
どんな顔、してるんだろう。
そう思って、シンは背中に縋ったままだった手を無理やり上げて、藍色の髪に差し込み、くいっと力を込めた。
とたん、何もかもわかったような議長に深く突き上げられ、仰け反ったアスランがその艶やかな表情をさらす。
シンに前を、議長に後ろを刺激され、感じ入ったその表情。
快楽の涙に濡れた瞳。喘ぎに染まった赤い唇。
滴る汗と涙に張り付いた髪が、はらりと落ちてシンの頬に雫をこぼした。
すっごい、色っぽい。
見とれたところで、シンもまた深いところまで侵入られて。
思わずしがみ付いたその体。
ダイスキ。
シンは無理やり身を折って、わずかに開いて喘ぐ唇に、自分のそれを合わせていた。
「ん、んんっ・・・」
互いの口腔でくぐもった声
二人の体が揺れるたび、それぞれの舌が震えて。
そんな様子を眺めたギルバートは、くつりと笑うと、アスランを責める動きを酷くした。
「んっ、んっ、んくっ・・・」
より多くの快楽を与えられていたアスランが、びくりと身を引きつらせて先に達し、流し込まれ、満たされたシンも、それに感じ入って。
「アスラン」
囁かれる、ギルバートの深い声。それに意味を見出したアスランは、達しても赦されない体をひくつかせながら、シンのものに手を伸ばした。
「ひゃ、うわ・・・」
シンは思わず声を上げ、なすすべもなくイかされて。そのままアスランは、シンに縋るように抱きついてきた。
「ふっ、あっ、ああっ・・・」
その体がびくびくと震えるのを感じて、シンは驚いて喉元に押し付けられた、藍色の頭を見下ろした。
「ああ、後ろだけイったのかい？本当に敏感だね」
なんでもないことのようにギルバートは言って。
その後した、ぐちゅっ、という音は、恐らくアスランの中から抜き出した音だろう。
「ずるい、ですよ。議長・・・」
そうしてアスランは、嗄れた声を出して、シンの上かゆらりと身を起こした。
尖った顎の先から、ほた、と、汗とも唾液ともつかないものが、シンの胸に落ちる。
「すまないね」
議長の声は笑っていて、まったくすまないと思っていないことがよくわかる。
「大丈夫か？シン」
身をよじり、眇めるようにギルバートを見上げた翠色の瞳が、ふい、とシンに戻って。こくこくと頷いた少年に、アスランは疲れた様子も色っぽく、ふわり、と笑った。
「そうか」
そうして、どきどきしているシンから、ずる、と自身を引き出して。
ふるりと身を震わせたシンの髪をくしゃくしゃと撫で、ぺたりとシーツに座り込んだまま、議長を見上げる。
「いつもは、もう少しちゃんと出来ているんですただ、こいつイレギュラーに弱いもので・・・」
自分でも、愚にも付かないと思う言い訳。
しまった。気持ちよくて、つい夢中になってしまった。
「ふうん。・・・どうだね、シン」
急に話を振られたシンは、投げ出したままだった体を、慌てて縮めてシーツを引き寄せた。
アスランの入っていた場所が、熱い。
「どうって・・・・いつもよりすっげー甲斐性あってびっくりっていうか・・・」
「シン！」
咎める声に、しまったと思い。
アスランにぱこんと殴られて、恐る恐る見上げたギルバートの瞳は、実に楽しそうに笑っていた。
うわ怖っ！
「可愛いのはわかるけれどね。ちゃんと躾けないと駄目だろう」
「はぁ・・・」
シンを殴って、そのまま頭の上にあった手が、さりげなく動いて橙色の瞳からシンを隠そうとするけれど。
「貸してごらん」
にこりと笑ったギルバートに言われ、シンは固まりアスランはおろおろと視線を彷徨わせた。
「しかし、議長・・・」
「アスラン」
再び、呼ばれて。
内心ため息をついたアスランは、しかし覚悟を決めて、とん、とシンの背を叩いた。
「粗相のないようにな」
「え・・・ええっ！」
「君もだよ、アスラン」
「はい、すみません」
わたわたと慌てるシンを、自分の前、つまりギルバートの前に引きずり出し、そうしてアスランは後ろから羽交い絞めのかたちで、がっちりとホールドしてしまった。
「どうしますか？」
アスランの声が、いつもと違う。慌てて見上げると、翠の瞳が『諦めろ』と言っているのが珍しくよくわかった。
「とりあえずね、自分が誰の下で喘いでいるのか、ちゃんとわからせてあげているのは良いことだ。でも君は、少し甘やかし過ぎているよ」
「・・・はい」
「自分が、誰の下にいるのか・・・もっときちんと、わからせてあげないとね」
にこりとギルバートに笑われて、アスランはただ、頷く。
そうして、先ほど自分がしたように、ギルバートが少年の成長途中の細い足を抱え上げるのを、見守るしかない。
「えっ、えっ、アスランさん！？」
助けを求めるような、シンの声。かわいそうだと思うけれど。
「自業自得だ、馬鹿」
お前の余計な一言のせいだ。
「うわあっ・・・」
そのまま悲鳴を上げるシンの体を、後ろから抱きしめて。
他人に刺し貫かれて、びくびくと震える体を、感じて。
アスランは、酷く情けない思いを味わった。
「あ、あふ、ぅわ、ひゃぁ・・・」
「面白い声で鳴くね、この子は」
「俺もはじめはこんなものだったと思いますが・・・」
「いや、もう少し、なんというか、違った可愛らしさだったと思うが」
「そうですか？」
アスランに慣らされ、濡らされたそこを、ギルバートに激しく責め上げられて、シンは頭上の会話など、気に留める余裕はない。
アスランを受け入れるのも精一杯だったのに、それよりも大きなものが、何の遠慮も容赦もなく中を蹂躙しているのだ。
それは、アスランとしているときとは、まったく違う。
ただ、支配さて、犯される感覚。
怖い。
「ひっ、やっ、やだ、うわっ！」
「こら、シン！」
何で怒るんだよう。
涙が出てきて、嗚咽がこぼれて。そうして震えた唇に。
しかし何か、熱いものが覆い被さった。
それは、アスランの唇。
やさしい、キス。
シンは、それを一生懸命に味わった。
それでも、下肢から突き上げる辛い快楽は消えなくて。
「んっ、ふンっ、んぐ・・・ああっ」
しかも、アスランは、すぐに唇を離してしまって。
もっと、もっとと、絡め取られた腕に力を込めて、必死になって欲しがるのに、アスランは濡れた唇で。
「窒息する気か、馬鹿野郎」
そう囁くと、ぺろりとシンの耳元を舐めた。
「ひぃ、わぁっ」
とたん、体内のものがシンの知らないほど深い場所を抉り。
「うわっ、やだ、アスランさんっ！」
シンは、アスランが複雑な表情を浮かべるのをみながら、達していた。
「・・・すみません」
なんでこの子はこうかなぁとため息をつきながら、それでもなんだか嬉しい自分をなだめながら。
アスランは、まだひくひく震えているシンの体を抱きしめて、とりあえず議長にアタマを下げた。
「いや・・・」
しかし、さすが酔狂の人。ギルバートは肩を震わせ、くつくつと実に楽しそうに笑っていた。
「なるほど。レイが薦めてこないわけだ・・・面白いね」
「はぁ」
とうとうレイのことも言ったか、と思ったが、シンを見下ろすと、半泣きでアスランの膝にしがみ付いた彼は、ギルバートの言葉など、聞いてはいないらしい。
後で気付いたりしないといいなぁと思いながら、くしゃくしゃに乱れた髪を撫でてやり、アスランはシンを自分の膝の腕に引きずり上げた。
「泣くなよ、こら。失礼だぞ」
初めてのときでも、俺だってここまで泣かなかったよな。
そう思うと、可愛いとも思うが腹も立つ。
「だ・・・って、俺」
ギルバートは、まだ笑っている。なら、多少は平気だろうと判断して、えぐえぐと嗚咽をこぼす唇に、キスをして。
「泣くなよ、男だろ」
この場にこれほどそぐわない言葉もない。
ギルバートはいっそうおかしそうに笑い出す。
それを横目に見、まあ、満足してくれたのならいいか、と辞去するタイミングを計りだしたアスランに、しかしギルバートは笑い過ぎて涙目になった目を上げて、実に楽しそうに言い放った。
「そんなに彼のことが好きなら、シン、アスランを抱いてみるかい？」